私は1989年から共同体の活動を続けてきましたが、2000年に入ってから、
今後さらに有意義な活動を続けていくためには、「自由で多目的に使えるスペースが必要だ」
と痛感するに至りました。この構想に賛同した静江さんの全面的な経済支援によって、
2003年、私の所有地に、大人数を収容することができる大部屋「多目的ホール」と、
ハンディクラフトや紙すき製品を作る「作業室」を有する建物の建設を開始し、
2005年冬に建物が完成しました。   

ここでの活動は教育、文化、公衆衛生、環境、経済など多様な分野を包括するものですが、
少しでも村の人たちの生活に役に立つよう、そしてこれらの活動と運営を近い将来、
村の人たちの手に委ねることができるようにしていくのが、
静江さんと私の目標です。
*****
 私たちの「多目的ホール&作業室」での活動は2006年の夏から始まり、今年で3年目に入りました。(注1)1年目はキラン・ライブラリーをスタートさせ、2年目は村の大人たちのための学習会も並行して行うようになり、3年目の今年はハンディクラフト開発に力を注いだ年でした。
 ハンディクラフト活動はこれまでも細々と続けていましたが、簡単な作業をアトランダムに村の女性に頼むぐらいで、女性たちにしっかり教えて作ってもらう段階ではなく、ほとんど私1人で作っていたようなものでした。今年の春、手が器用な女性ややる気がありそうな女性を集めて「ハンディクラフト研修隊」を結成しました。春に7人だったのが、秋には5人に減ってしまいましたが、残った女性たちはこれからの活動の中心的な役割を果たしてくれそうな存在になっています。彼女たちの仕事の質が上がったことにより賃金も増え、他の女性たちも「来年はぜひ自分も雇って」と言ってきています。
 現在は1階の私の部屋(注2)でハンディクラフトの作業をしていますが、建設中の2階のハンディクラフトと紙漉きの2つの作業室が完成したら、働く女性の人数も増やしていけると思います。また、今年スタッフのジャムシェールが大工さんの手伝いにかかっていたのでできなかった手漉きの紙作りにも、新たに力を入れていきたいと思っています。
 発展途上国のパキスタンはもともと不況で就労率も低いのですが、このところの目が飛び出るほどの急激な物価高で、人々の生活は非常に困難なものとなっています。カラーシャ族が住むアフガニスタンに近い北西辺境州のまた僻地では、従来の価格にさらに運賃が加算されますので(ガソリンの高騰で運賃の上昇もすごい)、例えば主食の一つの小麦を買うにしても、都市部の3倍の高値となってしまいます。そういった現状の中で、現金収入源の活動は小規模ではありますが、意義のあるものと思っています。
 多目的ホールで開いている子供たちのライブラリーも、静江さんがやってきた秋から再び盛り上がっています。各自で本を読むだけでなく、年上の子供や高校生やカレッジのお兄ちゃんたちが、小さい子供たちに読みきかせをしたり、また、村のゲストハウスに泊まっているバックパッカーの旅行者たちとの交流の場を作ったり、DVDプレーヤーで動物の番組を見せたりと、内容も濃くなってきています。私たちが帰国して留守の間もスタッフとボランティアだけで運営していければしめたものだと思っています。
 パキスタンの情勢は穏やかではないのですが、カラーシャの谷が存在するチトラール地方はきわめて平和です。私たちの活動は始まったばかりです。ハンディクラフトも手漉きの紙も作るばかりでなく、買ってもらわないとまわっていきません。今後とも、皆様のさらなるご支援とご協力をお願いできれば幸いです。

(注1)会計の第1期は、'06年の4月に始まり '06年11月までの半年間となっています。
(注2)股関節の手術前は2階に私個人用の部屋を作る予定でしたが、取りやめて1階の作業室を私の部屋にして、代わりに2階の作業室を私の費用で、ベランダを静江さんの費用で建てることになりました。

                      2008年12月(ルンブール福祉開発組合代表・多目的ホール&作業室運営担当/わだ晶子)
 多目的ホール
キラン・ライブラリー 
 
キランライブラリー開設当時の様子   冬のライブラリー
2002年に読書の機会のない子供たちのために行った巡回図書箱の活動で、本を目にした子供たちのうれしそうな顔をみて、一回だけのものでなくて、図書箱の本も置いて、常設の図書スペースを設けたいという思うようになりました。2005年、ICLC(国際識字文化センター)を通じて、故鈴木たけし東京外語大学教授の寄付金をいただき、翌年完成した多目的ホールの一角に「キラン・ライブラリー(光の図書室)」を設置することができました。
(注)ICLCは、光が届かない状況にある人たちに知恵の光を届けようという願いを込めて、パキスタンの少年刑務所や女性刑務所など4ヶ所に「キラン・ライブラリー」を造っています。  
大人のための学習会 
 
語り部による学習会で耳を傾ける村人   伝統行事のDVDを観るカラーシャの女性
村の人たちは話し好きで、小さな話もすぐに拡がるが、話が紆余曲折し、正確な情報がもたらされてないことが多い。しかも将来に向けて真剣に考えた方がいいと思われる健康・衛生、環境、文化、共同体の問題などについては、一堂に集まってきちんと話し合っていないことに長年住んでみて気がつきました。そういった村人たちの話し合いや学習会の新しい場としての役割を、多目的ホールが果たしていければと思います。
 第1回目の「大人の学習会」は、昨年の9月、札幌の助産師養成の大学院の先生方が休暇にみえた際に、村の女性たちとの交流会を開いたことでスタートしました。日本とカラーシャの出産・育児についての質問、意見交換を中心に楽しい「女性の集まり」となりました。(詳しい報告は、ブログ便りの2006年9月でご覧ください。)
 また、学習会には、読み書きができない大人たちに口で百回説明するよりも、視覚に一回うったえた方がより説得力があるだろうと、映像の上映も抱き合わせたいと思っていました。それに、ここ数年、私は村の祭りや行事をビデオで撮影していますが、そのつど村の人に「見せてくれ」とせがまれます。いちいち一人ひとりに見せるわけにもいかないので、編集したものを多目的ホールでいちどきにみんなに見せることもできます。他にもよその国の文化や景色の映像なども上映したら、外の世界を知るチャンスになるだろうと考えていました。
 2005年の鈴木いさこさんからの寄付で、2006年冬にテレビとDVDプレーヤーを購入することができ、2007年3月から、大人のための学習会で上映会も行っています。(詳しい報告は、ブログ便りの2007年でご覧ください。)  
展示コーナー
 隣の作業室で作った手すきの紙製品、織物などを展示販売します。これらの利益の一部は多目的ホールでの運営活動費に還元されます。
多目的な空間
 この多目的ホールは名のとおり多目的に使いたいと思っています。例えば、村を訪れた人が村の人とワークショップを開いたり、旅行者が自分の国の話やパフォーマンスを行うことも可能です。
 作業室
  村人の現金収入源と、「多目的ホール&作業室」の運営資金源のために、カラーシャの小物や手すき紙の製品を作る部屋です。作られた製品は、主に多目的ホールに展示してツーリストに販売します。また、質のよい製品作りをめざすために、折々に、村人たちを集めて研修会も開きます。
手すきの紙作り
手すきの紙に絵描く子供たち
 10年ほど前にICLCの田島伸二さんから紹介された紙作りは、特定な現金収入のない若者が、土地にある材料を使って、簡単な設備の中で、リサイクル精神を融合させながら作れる、村の環境にもってこいの仕事です。これまで屋外で行っていたのですが、作業室の中でかんかん照りの真夏でも、雪の積もる真冬でも作業ができることになりました。 
ハンディクラフト
 カラーシャには伝統の染めや織りがありますが、衰退の一途をたどっています。これらの伝統技術を復活させ生かしながら、現金収入源となる手工芸品を開発し、生産販売していきます。ゆみこさんとなかよし会のみなさまからは特にこの活動のために支援していただいています。
●寄付をいただいた方(2008年12月〜2009年12月)
篠田悠子様、横浜歩の会、山口和子様、除村初枝様、和田幸尚様、弥吉定夫様、深水道子様、増田秀穂・歳子様、本間ケイ様、佐賀西校英研仲間、並木和子&満夫様、高橋美智子様、藤田艶子様、川嶋清様、井谷泰彦様、森田幹夫様、小高玲子様、下村文子様、山田俊一&純子様

ご協力に感謝します。ありがとうございました。
(ご寄付いただいた方には会計報告をいたします。)
活動についてのお問い合わせは
AKIKO WADA (わだ晶子)
C/O Mountain Inn, Chitral, NWFP, Pakistan
Fax: 0092-943-412668
Email: akkowa25@hotmail.com (チトラールの町に出た時にチェックしますので、月1〜2回、12月は0回)
Web site: http://kalasha.fc2web.com/
SHIZUE(静江)
Email: shizue-m@tc4.so-net.ne.jp


SEO [PR] カード比較  冷え対策 温泉宿 動画無料レンタルサーバー SEO